coyote さんからのコメント

JR秋田駅から車で10分ほど。秋田県庁舎・市庁舎の近くにある雑居ビルの1Fに「禁煙ばー 縁～enishi～」さんがあります。仕事で秋田に訪問した折に、ケムラン候補店一覧からお店を見つけ、訪問させていただきました。

事前情報としてケムラン管理人さんからは、こちらのお店は「スナック」だと聞いていました。確かに、入口のドアからは店内の様子を見ることができず、いわゆるスナックっぽい雰囲気です。こういうお店は入るのに多少ドキドキしたりするもんですが、こちらのお店は通りに面して大きな窓があり、外から中の様子を見ることができるので安心でした。中には「女性客もいて、楽しそうな雰囲気だったから」という理由で初来店するお客さんもいらっしゃるとか。スナック初心者にも優しい、敷費の低いお店であります。

中は、5つのカウンター席と3つのテーブル席からなる10～12畳ほどの小ぶりなお店でした。カウンターの奥から私を出迎えてくれたのが、ママの近藤さん。近藤さんは以前、全国各地を駆け巡るバリバリの出版営業だったそうですが、足腰を悪くされて退職。これからは「自分から出かけるのではなく、お客さんが自分のところに来てくれる仕事がしたい」ということで、3年前にお店を開業されたそうです。

カウンターに座り生ビールをいただいていますと、早速近藤さんがご自慢の手料理を振る舞ってくれました。普通スナックと言えば、申し訳程度の乾き物が出てくるのが相場ですが、こちらでは温かい手料理が次から次へと出てくる出てくる！この日のメニューは、秋田名産・とんぶりを使った和え物にはじまり、納豆豆腐、焼きサバ、卵焼き、豆腐ハンバークと続きました。字面だけ見るとごく普通のメニューのようですが、一つ一つに近藤さんのひと工夫、隠し味が聞いていて、これが実にうんまいのです。近藤さんのお料理を楽しみに来店される常連さんはとても多く、中には秋田でラジオ番組を持つ料理研究家の方もおられるんだとか。

そしてこの日のシメの一品は、秋田名物・きりたんぽ鍋！県外からやってきた私のためにわざわざご用意いただいたそうです。秋田県民の方にとっては「セリがないときりたんぽ鍋じゃない」そうで、その言葉通り、最後に投入されたシャキシャキのセリは、きりたんぽに負けない存在感を放っていました。実に美味！

お酒のグラスが空になると、すかさず近藤さんがお声掛けをしてくれるので、勧めれるままにビール、ホッピー、さらには秋田の地酒までいただいてしまいました。「地酒飲む？」「チョコもあるよ？」「最後に特製フレンチトースト食べない？」と、次から次へと食べ物が出てくる感じは、まるで実家。

そう、このお店は「スナック」でも「バー」でも「パブ」でも「小料理屋」でもなく、私にとっては「実家」もしくは「秋田の叔母さんち」という表現が一番しっくりきますね。観光者向けに整備されたお店では絶対に味わえない、リアル秋田がここにありました。独特のねばり気を含んだ秋田弁に四方を取り囲まれながら、近藤さんの普段着のご馳走をたっぷりとお楽しみくださいね。

なお、お店のFacebookページ「禁煙ばー 縁 ～enishi～」では、近藤さんが日々積極的に情報を発信されています。お問い合わせなどもこちらからどうぞ。

＜おまけ＞
これだけ飲んで食ってしたのに、お会計がわずか3,000円だったことに思わずズッコケそうになりました（地酒も飲んだので、倍の金額を言われても不思議ではない）。高級なお酒を飲まない限り、基本的にお会計は3,000円とのこと（2018年10月時点）。利益度外視のおもてなしにちょっぴり申し訳なくなりましたので、少し気持ちをのせてお支払いさせてもらいました。こういった禁煙バーは全国的にも非常に珍しいと思うので、おもてなしに満足された方は、ぜひぜひご支援をお願いいたします！

2018-11-03 14:45:44