小さな飲食店が軒を連ねる東京、新宿御苑。この周辺は、レトロな雰囲気のお洒落な飲食店が多い。近隣のオフィスワーカー達にとって、ランチのお店選びは日々ささやかな楽しみのひとつである。
地下鉄丸ノ内線、新宿御苑駅から徒歩3 分。靖国通りにつながる商店街にあるビルの2 階に、昨年12 月オープンした「畑々」。ある日、この周辺でランチのお店を探していると、いつも見かける軒先看板に「No Smoking」という張り紙が目に入ったので、早速入ってみることにした。
白い木綿の暖簾をくぐると、そこはガラス張りで開放感あふれる清潔な店内が目に飛び込む。残念ながら、軒先看板でみかけたランチは既に売り切れていたため、今回は親子丼を

いただいた。この親子丼、やわらかく似た大和肉鶏をふんわりトロトロの卵が包んだ至高の一品。これなら午後の仕事もはかどりそうだ。
別日に店主の本山さんにお話を伺った。「畑で取れる旬野菜を通じて、オフィスで働く皆さんに季節を届けたい」と本山さん。なるほど、それでお店の名前が「畑々」なのか。春、夏、秋、冬、それぞれの時期に採れる野菜をふんだんに取り入れた和食を中心に出しているとのこと。年中オフィスで過ごす我々にとっては、このお店は季節を思い出させてくれるありがたい存在。
禁煙にされたのはいつからかと聞くと、完全禁煙にしたのはこの2 月からとのこと。たばこは、エアコンフィルターの掃除や灰皿交換等の手間がかかるため、開店当初から完全禁煙を目指していたそう。

経営的な判断から開店当初は加熱式タバコのみOK にしていたのだが、従業員の方から「やはり完全禁煙にしたら？」と提案があり、今回思い切って切り替えた（その結果、入り口に禁煙の張り紙を出した）そうである。
禁煙にして良かったことはと聞くと、「ファミリー層がきてくれること」と答えてくれた。このような大人な雰囲気のお店に、ファミリーが来てくれるとは予想外だったとのこと。「うちははじめから紙巻タバコは禁煙としていたので、今回、完全禁煙にするときに抵抗はありませんでした。これからも、続けたいと思います」
日々息の詰まる環境で働くオフィスワーカーに、四季を感じさせてくれる有難いお店。せっかくなら、タバコの煙がない場で感じたいものである。