日曜の午後3 時、地元の家族連れなどで人通りの多いよみせ通りにある小さなビアパブに次々と人が集まってくる。そう、みんなのお目当ては「サンデーロースト」。ローズマリーをはじめふんだんにハーブが使われ、じっくりとローストされたお肉は、週替わりで、羊、牛、豚、鶏肉で作られている。フライドポテトと季節のお野菜が添えられた一皿は毎週来ても飽きない逸品。クラフトビールは常時4樽が供され、常に話題の新作や定番モノが待機している。一階はドリンク・フードを注文するバーカウンター及びスタンディングバー。キャッシュオンで気軽に飲みたいもの・食べたいものを選ぶ。一人でふらりと来た常連さんは一階でワイワイと石井さんや店員さんとビール談話で盛り上がる。そんなときのお共には本しめじのピクルス。つやつやとしたキノコはもはや神々しい。まずは罪悪感の少ないおつまみで、ビールを堪能する。

　二階は椅子も備え付けられたテーブル席があり、カップルや家族連れに人気。この日もサンデーローストを目当てにやってきた1 歳の男の子を連れた素敵なご家族に遭遇した。「授乳が明けてお酒飲めるようになったら、絶対ここで解禁すると決めていました」というほど、ビアパブイシイの大ファンである文京区民のA さん。禁煙だから安心して家族で毎週来られますと、週末の午後をビールとともに楽しんでいた（写真）。小学生のお嬢さんを連れたお父さんも、サンデーロースト目当て。お子様用のジュースも販売されているため、安心して楽しめる。

　石井さんは、このお店を始める前に勤めていた飲食店では喫煙可能で、灰皿を洗うたびにいやな気持になっていたという。2013 年に自分の店をオープンした際はもちろん禁煙でスタート。外のベンチに灰皿を設置していたが、それも撤去した。灰皿を提供せず、吸いたい人は自己責任で外で吸ってもらうスタイル。クラフトビール好きはもともと喫煙者が少なく、吸えない店とわかっても帰る人は20人に1 人くらいだそう。他の分煙の飲食店にも兼務するアルバイトのB さんは、食事をする場所である以上、分煙は難しい、やはり完全禁煙が一番という。最近では、禁煙をお互いに薦めあうお客さんもいるんだとか。禁煙にしようか悩んでいるお店には「禁煙にした方が売り上げ増えますよ。吸わないオーナーなら迷わずぜひに」と石井さんからのメッセージ。薫り高きクラフトビールを楽しむのにタバコの煙は不要。これが当たり前になる日が来ますように。